センターについて
ビフレンディングの姿勢

ビフレンディングは『Be+friend-ing』から生まれた言葉。「友達になる」=「寄り添い・支える存在になる」という、私たちの姿勢を示しています。 ビフレンディングは『Be+friend-ing』から生まれた言葉。「友達になる」=「寄り添い・支える存在になる」という、私たちの姿勢を示しています。

ビフレンディングのあり方に気付いたのはイギリスのチャド・ヴァラー氏。
1953年にロンドンで世界最初の電話による悩み相談を受ける団体、『サマリタンズ』を設立した人物です。そしてビフレンディングに気づかせてくれたのは、チャドをサポートしていたボランティアたちの行動でした。
その行動はとてもシンプル。
例えばチャドとの面接相談の待ち時間にお茶を出してあげたり、隣に座りただ静かに話を聞いたり。
しかし、そんなボランティア達との何気ないやりとりによって、心満たされる相談者が出てくるようになりました。
中にはチャドに会うことなく帰っていく人もいたほどです。

「寄り添う気持ちが見えるからこそ、安心して心を開くことが出来る」
「知らない人だからこそ、率直に自分の気持ちを話すことが出来る」

チャドは、これらが悩みを抱えた人にとって何よりも大切だということに気づきました。
そして自分たちの活動は、アドバイスや励ましを行う専門家ではなく、相談者と同じ目線に立てる普通の人によって行われるべきと考えたのです。

『普通の人がボランティアとして、感情に寄り添い、コーラー(相談者)の心の支えになる』

ビフレンディングの姿勢はこうして生まれました。

所定の訓練を受けてビフレンディングを行うボランティア(相談員)は、『ビフレンダー』と呼ばれ、活動は世界各地に広がりを見せます。
1974年にはサマリタンズが中心となり、国際的組織『国際ビフレンダーズ』を設立。その拠点は37カ国・400以上にも及んでいます。
現在共通の憲章に基づき活動をするビフレンダーは世界に約3万人。
私たち東京自殺防止センターもその一員です。

国際ビフレンダーズ憲章について

自殺防止センターは、1983年、国際ビフレンダーズに加盟し、その日本支部として、世界的なつながりの中で励まし合いながら活動しています。国際ビフレンダーズは活動の基準として「国際ビフレンダーズ憲章」をもち、「ビフレンディング」によって人々を支援します。

私たち、東京自殺防止センターの活動は、この「国際ビフレンダーズ憲章」に沿って行われております。

Befrienders Worldwide Charter 

国際ビフレンダーズ憲章
(Charter of befrienders worldwide)

ネットワークの目的(Aim of the network)

このネットワーク(Befrienders Worldwide = 国際ビフレンダーズ)の目的は、効果的支援サービスの展開を推進し、情報の共有と共に働く事とによって我々の以下の能力を増進させることである:

  • コーラー(相談者)が適切な感情的支援サービスを利用できる権利を最大限保障する。
  • 効果的サービスの指針と実践を実証する。
  • 情報を共有する。
  • 相互にサポートを提供する。
  • 内部にも外部にも指針を浸透させる。
  • 適切な調査研究を奨励する。

使命(Mission)

メンバーセンターとしての我々の使命は:

  • a)自殺に至るかもしれない感情を含めて苦悩と絶望を感じている人々に、秘密を守って感情面の支援を提供すること。そして
  • b)効果をもっと大きくするために、情報を共有し共に働くことである。

ビジョン(Vision)

我々のビジョンは、自殺で死ぬ人がもっと少なく、人々が自分の感情をよく知り確かめ、他の人々の感情を認め尊重することができるような社会を望み見ることである。

価値基準(Values)

我々の価値基準は以下の信念に基づくものである:

  • 困難な感情を知り確かめることの重要性。
  • よく聴いてもらい、秘密を守って偏見なく受け容れてもらうことで、絶望感と自殺したい気持ちが緩和される。
  • だれでも皆、自殺で死ぬという決定を含めて、自分の命に関わる重要な決定を下す権利を持っている(この項の実際の適用は、センターが在る地域の状況と法体系に左右される)。

メンバーセンターの重要共通原則
(Key common principles of Member centres)

  • センターの主要目的は、自殺したくなっている人々、あるいは一般的な苦悩状態にある人々に感情面の支援を提供することである。
  • センターの活動力の人的資源は主としてボランティアである。
  • 匿名性と秘密保持とを尊重する。
  • センターは政治的・宗教的偏りを持たず、ボランティアはその確信を誰にも押しつけない。
  • ボランティアは他の経験を積んだボランティアによって、また必要ならば適切な専門家によって選ばれ、訓練され、導かれ、サポートされる。
  • それが妥当であれば、コーラーに、センターの感情的支援に加えて専門家の助けを求めてはどうかと勧めることがある。
  • 我々は他のBWセンターと相互にサポートし合い、情報共有とネットワーク形成・活動に全力を傾ける。

感情面の支援(Emotionally Supportive)

  • センターのサービスを必要とするコーラーは偏見なく受け入れられて、自分の気持ち(feeling)について語りあるいは手紙を書くように、また自分の感情(emotions)を認識し別の選択を探し求める(explore options)ように勧められる。
  • ボランティアは聴く技能(スキル)を用いて、コーラーの困窮(ニーズ)を認識し適切に応対(レスポンド)する。
  • ボランティアは、自分の確信を押しつけないし、また、政治、哲学・宗教に関してコーラーに影響を及ぼさない。
  • もしコーラーが自殺危機あるいは絶望状態にあるなら、継続的支援(follow up contact)を提供する。
  • コーラーの許可があれば、センターのリーダーたちとの相談の後、コーラーの苦悩が続いている間支援を提供するために、そのコーラーをボランティアの1グループが担当することがある。
  • もしコーラーが他の助けを必要とするなら、センターはコーラーに他機関の情報を伝える(それがあれば)。コーラーの同意表明があればリーダーたちとの相談の後、コーラーに代わってセンターがリファー(照会)してもよい。
  • センターは、他の機関あるいは個人からの適切なリファー(照会)を歓迎する。

自己決定(Self-Determination)

  • コーラーは自分の命への責任を保持しており、たとえその決定が自分の命を取り去ることであっても、決定をくだす権利を失わない(この項の実際の適用は、センターが在る地域の状況と法体系に左右される)。